「命を懸けた思想が星を動かす――『チ。―地球の運動について―』が描いた真理の軌跡」

「星は、ただの光ではない。そこに“真理”がある」

闇に包まれた修道院の一室。燃える蝋燭の明かりの中で、震える手が一枚の羊皮紙に“地球が動いている”という証を残す。その瞬間、誰かが扉を叩く音が響く――追われながらも、彼らはそれを書かずにはいられなかった。

『チ。―地球の運動について―』(作:魚豊)は、“思想”そのものを主題にした、前代未聞の歴史×哲学漫画。科学的進展やアクションではなく、“人が真理に命を賭ける”という壮絶な生き様を描いたこの作品が、ついに堂々完結した。

本巻では、「地動説」の出版を目前に、ドゥラカとシュミットが審問官に追われる緊迫の場面から幕を開ける。ノヴァクの追撃が迫る中、犠牲を払いながらも彼らが辿る最後の逃走と決断。そのすべてが、“思想を残す”という一点に凝縮されている。

この作品の凄さは、決して“科学的正しさ”だけに重きを置かないところにある。地動説という一つのアイディアを巡って、恐怖、信仰、裏切り、情熱、友情、そして絶望が幾重にも折り重なる。信じるもののために命を落とす覚悟。その姿は、まさに“思想の殉教者”と言うほかない。

ドゥラカとシュミットの関係も本巻で大きく深まる。それは友情とも、信仰とも違う、“共に重力に抗った者”同士の絆。その会話一つ一つに重みがあり、ラストシーンでは静かな涙が自然にこぼれる。

魚豊氏の描写力も、本巻で極みに達している。中世の建築物、暗がりの細部、群衆の不安や怒号。すべてがリアルで、息苦しいほどの臨場感を与える。紙面からは文字通り“時代の重さ”が伝わってくる。

また、この作品の功績として“教育的価値”が高いことも挙げられる。単なるエンタメではなく、「なぜ我々は今、地球が太陽の周りを回っていると知っているのか」という問いに、血のにじむような歴史を通して答えてくれる。

読後の余韻があまりに深く、現代に生きる我々が持つ「知識」というものがいかに多くの命の上に成り立っているかを再認識させられる。そして、今を生きる者にこそ“思想を問う”きっかけをくれる。

以下のサイトにて無料試し読みが可能:

特にebookjapanでは、完結記念キャンペーンが開催されており、過去巻を振り返るには絶好のタイミングとなっている。

“動かせ。歴史を、心を、運命を、星を。”

このキャッチコピーの通り、『チ。』が読者に与えるのは、感動でも娯楽でもなく“衝動”だ。思想の炎が命を超えて受け継がれる。その瞬間に、あなたは立ち会うことになるだろう。

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