【高貴で凶乱、でもどこか愛しい——『凶乱令嬢ニア・リストン』がブチ抜いてくる新感覚・武闘会バトルコメディ】

「ほう……貴様、今の構え、第三型“星落とし”だな? 甘いッ! その肘が浮いている時点で敗北は決していたッッ!!」

……いや、解説席だよここ!?

武闘大会本選、王国中の熱狂を集めた大舞台。だが、誰より目立っていたのはリング上の剣士たちではなく、その一部始終をマイク片手に捲し立てる“凶乱の令嬢”だった。

南野海風が描く『凶乱令嬢ニア・リストン』は、貴族社会と武闘会、そして“怪演じみたキャラ芸”が融合した、唯一無二のバトル×ギャグ×貴族風刺ファンタジーである。

令嬢でありながら常軌を逸した戦闘狂、そして誰より解説がうまいという稀有なスキルを持つ主人公・ニア。

彼女の存在そのものが、作品世界の秩序をかき乱しながら、それでも誰より鮮やかに“場”を支配していく。

今回のストーリーは、武闘大会の本選がメイン舞台。

予選からすでに熱気に包まれた戦いは、弟子たち“勇星会”の若者たち、剣鬼と称される異常者、敗者復活から戻った因縁の挑戦者らが入り乱れ、まさに“戦の祭典”状態。

そこに突如、王令で「解説全試合担当」という謎の大役を拝命したニアが登場。

口を開けば絶妙な専門用語が飛び出し、構えの崩れを的確に指摘し、勝敗の行方を的中させる。……いやお前誰だよ!? ってくらいの活躍ぶり。

そして何より、この人——見てるだけでは満足しない。

「……なるほど、あれが今大会最強か。ならば、潰すしかないな」

えっ、あなた実況係ですよね!? っていうボケとツッコミの応酬が、まるで舞台劇のようにテンポよく展開していく。

ニアのキャラクター性がまた秀逸。

貴族の名門出身、優雅な振る舞い、上品な言葉遣い……なのに中身は熱血剣豪+過剰リアクション系お嬢様+自己評価過剰の武闘中毒者。

そのギャップが常に物語を面白くし、シリアスとギャグの境界線を自在に飛び越えてくる。

だが、ただのお笑いでは終わらないのが本作の恐ろしさでもある。

勇星会の若者たちとの師弟関係は、時に熱く、時に胸を打つ。

弟子たちはそれぞれに過去と課題を抱えており、ニアとの出会いによって“闘う意味”を見出していく。

それはまるで青春スポ根のような泥臭さと、貴族社会の歪みに抗う意思が交錯する、骨太のヒューマン・ドラマでもある。

ニアの行動や言動は破天荒だが、その根底には確かな“信念”がある。

「誰であれ、強くなりたいと願う者を、私は見捨てぬ」

このセリフにすべてが集約されている。

また、戦闘描写の緻密さも圧巻だ。

剣戟の速度、間合い、技の理論……それらを彼女の解説がさらに深化させ、読者の理解を促す。

読者視点とキャラ視点が見事に融合した“解説付きバトル”という新しい表現スタイルは、まさに本作ならでは。

「実況・解説:ニア・リストン(自称天才)」の字幕が脳内再生されること間違いなし。

さらに、ニア以外の登場人物たちも極めて個性が濃い。

剣技に生きる者、武を捨てた者、勝利に飢える者、復讐に燃える者——彼らの生き様が闘技場の上で交差し、物語は加速していく。

ギャグに笑い、バトルに燃え、ドラマに泣く。

この“情緒の乱高下”が読後の中毒性を生み、ページをめくる手が止まらない。

試し読みは以下のサイトで可能:

武闘会モノが好きな方、熱血ギャグが好きな方、そして「最近の異世界作品は真面目すぎる」と思っている方。

『凶乱令嬢ニア・リストン』は、きっとあなたのツボに入る。

強すぎて解説まで完璧な令嬢が、舞台を、観客を、読者を、すべて巻き込んで駆け抜けていく——!

今、この狂気と笑いの武闘会に、飛び込む覚悟はあるか?

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